こんにちは。mi-Reiです。
いきなりですが、
「センスは知識から」
という考え方が好きです。でもこれ、わたしの言葉ではありません。
わたしが大学生の頃に読んだ本「センスは知識からはじまる」(水野 学 著)からの引用です。(そのままやん!というツッコミは無しです。)
著者はgood design company の代表取締役をしていて、あのくまモンを生んだ、デザインの専門家です。わたしは業界の専門家ではないので、こんな拙い紹介しかできないのが申し訳ないですが、数々の商品のデザインやブランド化を手掛けヒットさせてきたプロセスを、論理的にわかりやすく説明している方ですね。
この本は全5Partで構成されています。「章」と言わずに“Part”というあたりが、この人の「らしさ」でしょうか。
Part1ではまず、“センスとは何かを定義”することで、センスとは特別な人だけに備わった才能のようなものではなく、必要な知識を得てその活かし方を学べば誰にでも発揮できる技術のようなものだと、読者を説得しています。
とても勇気づけられますね。
Part2に移ると、仕事や日常生活のあらゆる場面でセンスを必要とされる場面が紹介され、センス問題がとても身近なものであると考えさせられます。
そのうえで続くPart3では、いよいよセンスの核心に迫ります。論調は穏やかですけどね。
“センスとは知識の集積である。”
これが著者の考えです。この考え方をベースに「センスがあるものとはどんなものか」「イノベーションとは?」「センスのある選択」などについて、順をおって具体的に掘り下げています。
その後のPart4では、著者が実際に手掛けたプロジェクトを引き合いに、センス、つまり知識の集積をどのように生かしていくか、またセンスをどうやって訓練する(正しい方向性で知識を身につける)のか、についても紹介されています。大げさな言い方をすると、より実践的な内容になっているといえます。
最後のPart5は、著者の哲学です。
より洗練された内容になっていき、やや抽象的な部分もありますが、いいバランスで具体例があるのでスムーズに読み進めていくことができました。
本書全体を通してわかりやすく書かれており、余白を十分に使ったレイアウト、全183ページという分量を考えると、とてもすんなり読める1冊なんじゃないかなと思います。
また、国語の先生みたいなことを言いますが、各Partで最も言いたいことは各Partの最後のパラグラフに表れているように思います。ですので、一度読み終えた後もそこをおさらいすることで考え方を再確認できると思います。
(Part5については続くEpilogueがそれに当たります。)
なぜわたしがこの本を推すかというと、この本の考え方に救われたことがあるからなんです。
まだ学生で、研究室に所属していたころでした。アカデミックハラスメントで有名な先輩に、
「君、実験のセンス無いね」
と言われたことがあります。
若者のやる気を削ぎ落し、芽を摘んでしまう、凶悪な一言です。
でも、この本を読んでいたわたしは、
「センスがない → 知識がまだない → 当たり前やん、経験浅いねんから」
と頭の中で変換することができ、
「じゃあ勉強しよう!」
という勢いで、少なくとも卒業まではめげずに勉強することができました。
この本の中でわたしが気に入っているのは、
「一握りの天才を除いて、センス(才能)は後天的な訓練・学習によって誰でも手に入れることができる」
という根幹にある考え方です。
かのビリギャルを執筆した坪田信貴さんの著書「才能の正体」で述べられていることに通じる部分があるように思えます。
「自分はセンスがない」と悩んでいる人も、何となく上手いこと仕事をしている人にとっても、この本によってセンスが言語化されれば、きっとものの見方が変わってくるだろうと思います。
…ふぅ、ここまでで大体1500字です。話す速度を毎分300字として、ビブリオバトルでの持ち時間が5分とすると、だいたいこんなところでしょうか。
※本記事における“ ”内の文章は「センスは知識からはじまる」(水野 学 著)からの引用です。